Message from the President 社長メッセージ
住友ファーマトップからのメッセージ
更新日:2026年11月2日
日頃の皆さまからの温かいご支援とご理解に、心より御礼申し上げます。
住友ファーマグループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という理念に基づき、日本、米国を中心に世界中の方々に革新的で有用な医薬品を提供するため、研究開発に全力を注いでいます。
当社は2026年3月、「Reboot 2027」で進めてきた構造改革と体質改善等の成果を踏まえ、2028年度までの新たな成長戦略「Boost 2028―力強い住友ファーマの加速―」を策定しました。また、その実行を支える財務基盤の強化と成長投資資金の確保を目的として、同年4月に公募増資を実施しました。これにより、研究開発投資や戦略投資等に必要な資金を確保するとともに、負債返済を通じて財務基盤強化を実現しました。
当社グループの2026年度第2四半期累計期間(2026年4月1日から2026年9月30日まで)の事業概況をご紹介します。
米国事業では、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の販売拡大と価値最大化に取り組んでいます。両剤の販売は引き続き拡大しており、「ジェムテサ」については、同期間の計画を大きく上回りました。
日本事業においては、CNS領域および代謝領域の主力製品の価値最大化に加え、販売提携を活用した収益基盤の強化に取り組んでいます。ゼプリオン、オゼンピックおよびウゴービなどの販売提携品を含め、各製品の市場浸透と販売拡大を推進しています。
これらの結果、売上収益は2,665億円(前年同期比17.3%増)となりました。一方、コア営業利益は421億円(前年同期比56.2%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は382億円(前年同期比61.3%減)となりました。これは、前年に中国アジア事業を売却したことに加え、販売費及び一般管理費・研究開発費を増加し、さらなる成長に向けた取り組みを進めたことによります。
好調な業績や想定為替レートの見直し等を踏まえ、2026年度通期連結業績予想を上方修正しました。売上収益は期初予想から250億円増の5,650億円(前年度比24.6%増)、コア営業利益は140億円増の1,050億円(前年度比0.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は170億円増の940億円(前年度比12.0%減)を見込んでいます。前年度にアジア事業の売却益490億円を計上した反動がある中、今年度は主力製品の販売拡大に加え、下期に「オルゴビクス」の販売マイルストンの受領を見込んでおり、コア営業利益は過去最高を記録した前年度とほぼ同水準となる見通しです。
開発パイプラインについては、がん領域の2品目を最優先プログラムと位置づけ、最速での上市を目指して開発を推進しています。急性白血病を適応症として開発中のenzomenib(DSP-5336)は、単剤療法の承認申請に向けたフェーズ2試験および併用療法のフェーズ1/2試験を進めています。2026年10月にFDA(米国食品医薬品局)により、再発または難治性のKMT2A遺伝子の再構成を有する急性白血病の適応でブレイクスルーセラピー※1に指定されました。ベストインクラスを目指す本剤を、新たな治療選択肢として患者さんに一日でも早くお届けできるよう、本剤の開発を一層加速してまいります。骨髄線維症を適応症として開発中のnuvisertib(TP-3654)は、単剤療法およびモメロチニブとの併用療法のフェーズ1/2試験を進めています。2026年の欧州血液学会(EHA)では併用療法に関する新たな臨床データが発表されており、価値最大化に向けた開発を推進してまいります。
また、当社グループの将来の成長を牽引する柱の一つとして、再生・細胞医薬分野にも注力しています。2026年3月、非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞「アムシェプリ®」について、京都大学による医師主導治験のデータに基づき、既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善を効能、効果又は性能として、日本で製造販売承認(条件及び期限付承認)を取得し、iPS細胞由来製品として世界初の承認となりました。本承認取得に向けた製造販売後臨床試験(フェーズ4試験)では、10月に1例目の患者さんへの移植を完了しました。より多くのパーキンソン病患者さんに届けるために、現在は同試験を着実に推進するとともに、米国においても臨床開発を進め、グローバルでの事業価値最大化を目指しています。
さらに、感染症領域では、将来の新たな成長機会を見据え、独自のワクチン・アジュバント技術を活用した取組を進めています。その一環として、ユニバーサルインフルエンザワクチン(fH1/DSP-0546LP)の開発を推進しています。2026年9月に公表した欧州フェーズ1試験の最終解析結果では、投与1年後までの安全性・忍容性が良好であることが確認され、抗LAH※2抗体価の上昇が投与1年後も持続すること等が示されました。
業績の悪化により3期にわたって配当ができておりませんでした。本年についても前年度業績が回復してきたとはいえ、販売マイルストンの受領や外部環境の先行きに関する不確実性を考慮し、2027年3月期の配当予想を未定とし、業績動向等を踏まえて決定することとしておりました。今般、当第2四半期までの業績進捗および今後の見通し等を勘案し、2027年3月期の期末配当より復配とし、配当予想を15円としました。なお、中間配当は無配としております。
当社は今後も、多様なステークホルダーとの積極的な対話を重視するとともに、コーポレートガバナンス体制の強化とコンプライアンスの徹底を通じて、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。これまでと変わらぬ皆さまのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
住友ファーマ株式会社
代表取締役社長
2026年11月
- ※1ブレイクスルーセラピー
- 重篤または生命にかかわる疾患の治療を目的とした薬剤の開発・審査を促進する米国の制度であり、指定を受けた薬剤は、開発および審査の迅速化に向けて、FDAから継続的な助言や支援を受けることができます。指定の対象となるためには、未公表情報を含む臨床試験データに基づき、臨床的に重要なエンドポイントにおいて既存治療と比較して大幅な改善が期待できることを示す必要があります。
- ※2LAH(Long Alpha Helix)
- 幅広いインフルエンザウイルスに共通する隠れた抗原領域の一つです。本剤は、通常のヘマグルチニン抗原を構造変化させることでLAHを露出させた改変型ヘマグルチニン抗原を含んでいます。