Pharmaceutical Business 医薬品事業
日本
情報提供活動
            新薬は、基礎研究や臨床試験、国による承認審査という長い道のりを経て、はじめて患者さんに届けられます。さらに発売後も多くの患者さんに使われていくなかで、安全性や有効性が繰り返しチェックされ、より安心できる有用性の高い医薬品となります。このようにして得られた有効性、安全性等の情報に基づき適正に使用されてはじめて、医薬品は、人類の健康に貢献するという使命を果たすことができます。
当社は、MR(医薬情報担当者)やマルチメディアを通して、安全性情報を収集・提供するとともに、医療関係者に必要かつ専門性の高い情報を提供しています。日々の情報提供活動を通じ、医療関係者からの信頼を得ること、そして患者さんの健康で豊かな生活に貢献していくことを目指しています。
          
日本事業重点領域
            当社は、日本国内において、主に精神神経、糖尿病、希少疾病領域で情報提供・収集活動を展開しています。
精神神経領域においては、統合失調症等の治療薬を取り揃え、精神神経領域における医療のパートナーとして貢献することを目指しています。
糖尿病領域においては、作用メカニズムの異なる各種の治療薬を持ち、さまざまな医療ニーズにお応えしています。
          
製品ラインアップ
| 主要製品名 | 薬効 | 
|---|---|
| ラツーダ | 非定型抗精神病薬 | 
| ゼプリオン、ゼプリオンTRI | 持効性抗精神病剤 | 
| ロナセンテープ | 非定型抗精神病薬 | 
| ツイミーグ | 2型糖尿病治療剤 | 
| オゼンピック皮下注 | 2型糖尿病治療剤 | 
| エクア | 2型糖尿病治療剤 | 
| エクメット | 2型糖尿病治療剤 | 
| メトグルコ | 2型糖尿病治療剤 | 
| ウゴービ皮下注 | 肥満症治療剤 | 
| アガルシダーゼ ベータBS点滴静注「JCR」 | ファブリー病治療剤 | 
| イズカーゴ | 遺伝子組換えムコ多糖症 II 型治療剤 | 
研究開発
当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズが高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、これまで紡ぎあげてきた当社グループの経験と知識を最大限生かせるこれらの領域において、医薬品、再生・細胞医薬の研究開発に積極的に取り組んでいます。また、その他領域においても保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けるべく、着実な研究開発を推進しています。
がん領域
            これまでの研究開発活動を通じて、さまざまな知見を得るとともに、創薬力を強化し、特長を有する複数の開発パイプラインを創出してきました。これらを生かし、引き続きアンメット・メディカル・ニーズの高いがん領域の研究開発に注力しています。
創薬においては、自社が有する新規技術を用いたモダリティ展開やアカデミアとの共同研究などの取組を通じて競争力を高め、革新的な新薬の創出を目指しています。
開発段階では、初期臨床評価中の複数の開発パイプラインについて、短期・小規模の試験でデータを慎重に評価することなどにより、最適な対象がん種および製品価値を見極め、成功確度の向上を目指しています。とくにenzomenib(DSP-5336)およびnuvisertib(TP-3654)に資源を集中し、早期の承認取得と価値最大化を目指しています。
          
精神神経領域(CNS領域)
            先端技術を取り入れながら築いた自社独自の創薬技術プラットフォームを基盤に、競争力のある創薬研究を推進しています。
            CNS領域では、アンメット・メディカル・ニーズの高い神経疾患(神経変性疾患・希少疾患など)に重点を置いて、継続的な価値創造に取り組みます。特に、臨床病態との関連性が高い創薬標的に対して、当社の強みである中枢移行性のある低分子創薬技術を適応することで、根治療法薬等の革新的な新薬の創出を目指しています。また、iPS細胞などのヒト外挿性の高い非臨床モデルを活用するとともに、蓄積した脳波やイメージングなどのトランスレーショナル技術をさらに強化することで、研究開発の成功確度の向上を図っています。
            
また、原則としてテーマを発案した研究者がリーダーとして初期臨床開発段階までプロジェクトを進める新しい研究プロジェクト制を2017年度から導入しています。
          
その他領域
保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けます。以下の取組を推進しています。
- グローバルヘルスやパンデミックへの備えに貢献するため、ユニバーサルインフルエンザワクチンおよび薬剤耐性菌感染症治療薬の研究開発に取り組んでいます。
再生・細胞医薬
            アカデミア、ベンチャー、異業種とのオープンイノベーションを通じたネットワーク、多能性幹細胞からの分化誘導技術に代表されるiPS細胞の実用化に向けた技術蓄積、細胞製造に関わる製法、インフラ、人材などの豊かな製造ケイパビリティを強みとし、再生医療でしか達成できない新たな価値の提供を目指しています。
            具体的には、1990年代から研究活動に取り組んでおり、住友化学が実施してきたヒトES細胞を用いた基盤研究や、眼科領域における住友化学と理化学研究所との共同研究を通じて得られた知見および知的財産も活用してきました。2024年度には、事業の推進と加速を目的とし、住友化学と合弁会社RACTHERAを設立しました。iPS細胞由来製品の早期の実用化に向けた取組を推進しており、世界初のパーキンソン病を対象としたiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の上市を目指しています。
          
医薬品の生産
国内の自社工場での製造を基盤とし、国内外のパートナーとも連携して製品の安定供給体制を構築しています。営業本部や海外事業推進部・海外子会社・提携先との連携強化による生産計画の精度向上や原薬のダブルソース化、製剤製造や包装に関するサプライチェーンの最適化などにも積極的に取り組んでいます。また、さらなる競争力強化に向け、原価低減など改善活動に取り組むとともに、リードタイム短縮といった工場における生産性向上にも積極的に取り組んでいます。
鈴鹿工場
当社の製剤の基幹工場であり、原薬から製剤・包装まで医薬品の製造を一貫して行う設備を整えています。cGMP(米国の最新GMP)に対応した固形製剤棟を有し、製品をグローバルに供給しています。
大分工場
当社の原薬の基幹工場であり、cGMPに対応した原薬製造設備を有し、原薬を365日、24時間体制で製造しています。
「Reboot 2027」における日本事業の主要施策
強み領域・注⼒製品を通じた事業収益確保と再⽣・細胞医薬事業をコア事業へ
注⼒製品および新製品の価値最⼤化
- 「強み領域」(CNS領域・糖尿病・希少疾患)における、営業基盤・リレーションを活かした製品価値最⼤化
- がん領域事業⽴ち上げの準備
- オムニチャネル型情報提供による顧客満⾜度の向上、エビデンスに基づくメディカル活動
再⽣・細胞医薬事業の⽴ち上げ・拡⼤への注⼒
- CT1-DAP001/DSP-1083(パーキンソン)事業のスムーズな⽴ち上げ
- CT1-DAP001/DSP-1083本承認取得に向けた治験への貢献
- Next品⽬(HLCR011、DSP-3077)への貢献
変化に対応した事業運営
- 製品構成・⼈員構成の変化に応じ た体制構築と運営
- 医療政策の変化への柔軟な対応
- 事業継続に向けた戦略的導⼊・提携
米国
スミトモファーマ・アメリカ・インクが医療用医薬品の研究開発、製造および販売を行っています。同社は、サノビオン・ファーマシューティカルズ・インク、スミトモファーマ・アメリカ・ホールディングス・インク、スミトモファーマ・オンコロジー・インク、スミトバント・バイオファーマ・インク、マイオバント・サイエンシズ・インク、ユーロバント・サイエンシズ・インク、エンジバント・セラピューティクス・インクの米国グループ会社7法人の機能と人材を集約することにより、2023年7月1日に発足しました。
スミトモファーマ・アメリカ・インク 製品ラインアップ
| 主要製品名 | 薬効 | 
|---|---|
| オルゴビクス | 進行性前立腺がん治療剤 | 
| マイフェンブリー | 子宮筋腫・子宮内膜症治療剤 | 
| ジェムテサ | 過活動膀胱治療剤 | 
| リサイミック | 小児先天性無胸腺症向け培養ヒト胸腺組織 | 
「Reboot 2027」における北米事業の主要施策
既存製品の価値最大化
- 基幹3製品:投資対効果に優れる強力な販売戦略の遂行により売上高・製品損益を最大化
- リサイミック:自社加工施設の立ち上げにより、患者さんへの製品供給をより強固に
継続的なオペレーション効率化の追求
- 徹底したコスト管理を継続
- ガバナンス体制の簡素化
- enzomenib承認・上市を踏まえた販売体制の最適化を推進